ドロップボール(英: dropped-ball)とは、サッカーにおけるプレーの再開方法のひとつ。主審がボールをグラウンドに落として再開される。

ルール上の規定

サッカー競技規則では、第8条プレーの開始および再開において、キックオフと並んで規定されている。

ボールインプレーの最中に、競技規則に規定されていない理由で主審がプレーを停止した場合に、ドロップボールが行われる。競技規則に規定されていない理由として、以下の例が挙げられる。

  • プレーヤーが重傷を負ったと主審が判断する。
  • 観客の笛や物の投げ込み、動物の侵入、照明の故障などの外的要因により、プレーが妨害される。
  • ボールやゴールに欠陥・破損が生じる。
  • 審判員にボールが当たって大きなチャンスとなる攻撃が始まったり、ゴールに入ったり、ボールを保持するチームが入れ替わったりする。

進め方

ドロップボールは、プレーが停止されたときにボールがあった地点で行われる。ただし、ボールがゴールエリア内にあった時点でプレーが停止された場合は、同地点から最も近いゴールラインに平行なゴールエリアのライン上で行われる。

ドロップボールには、ゴールキーパーを含む両チームすべての出場中のプレーヤーが参加できる。逆に主審は、ドロップボールに参加する人数やプレーヤー、またドロップした後のプレーを指定できない。したがって、他の再開方法とは異なり、プレーヤーの位置に関する規定はない。

主審がボールをドロップし最初にグラウンドに触れたとき、プレーは再開となる。グラウンドに触れた後は、どのプレーヤーが先にボールに触れても構わない。

  • 2019/20 サッカー競技規則の改正より、ドロップボールは特定の1名の選手にドロップされることとなる。いずれの場合でも、その1名以外の両チームの選手はドロップの位置より4m以上離れなければならない。
    • ペナルティーエリア内の場合、どちらのチームがボールを保持していた場合でも、守備側のゴールキーパーにドロップされる
    • ペナルティーエリア外の場合、最後にボールに触れていたチームの選手に、最後にボールに触れた位置にドロップされる。

やり直し

以下の場合、ドロップボールはやり直しとなる。

  • ボールがグラウンドに触れる前に、いずれかのプレーヤーによって触れられた場合。
  • どのプレーヤーもドロップされたボールに触れることなく、ゴールラインまたはタッチラインを割った場合。

ボールがゴールインした場合

ボールがドロップされた後、1人のプレーヤーのみ触れたボールがゴールに入った場合、以下の方法でプレーを再開する。

  • 触れたプレーヤーの相手側のゴールに入った場合 - ゴールキック
  • 触れたプレーヤーのチーム側のゴールに入った場合 - コーナーキック

かつては、ドロップした後のボールを直接得点することが認められていた。しかし、ドロップボールに参加したチームが、プレーが停止した時点でボールを保持していた相手チームにボールを返そうとしたところ、誤ってゴールに入ってしまった、というケースや、さらには不本意な得点を打ち消す目的で、守備を放棄し相手に得点を与えるケースがあることから、このような事態を未然に防ぐ目的で、2012年7月から規則が改正され、ドロップした後のボールを直接得点することができなくなった。

脚注

注釈
出典

参考文献

  • “サッカー競技規則 2016/17” (PDF). 日本サッカー協会. 2016年10月14日閲覧。
  • “2012年競技規則の改正について” (PDF). 日本サッカー協会. 2016年10月14日閲覧。

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