M203 グレネードランチャーは、主にM16アサルトライフルやM4カービンに装着される40mm擲弾発射器である。銃身下に装着されるほか、ピストルグリップとストックとサイトを装着して単体(Stand-Alone)での使用も可能である。ライフリングを有する単発後装式のグレネードランチャーで、装填はアルミニウム製の銃身を前方にスライドさせて行う。
対応弾種は40x46mmグレネード弾で、榴弾、発煙弾、照明弾、散弾、催涙弾(CSガス)、演習弾がある。照準は、至近距離ではハンドガード上に装着されたリーフサイトで、400mまでの射撃ではキャリングハンドル横に装着されたクアドラントサイトで行う。
歴史
1967年から1968年にかけて、アメリカ陸軍と契約したAAI社が開発を行った。ベトナム戦争に投入されていた銃型のM79 グレネードランチャーと、当時試験採用されていたコルトの銃身下装着型のXM148 グレネードランチャーの実績を踏まえたものであった。
1968年後半に試験型のXM203が完成し、1970年にアメリカ軍によりベトナムでの運用試験が行われた結果、採用となり、M79の後継装備品として導入された。生産は、当初はAAIが行ったが、1971年以降はコルトがライセンスを取得して製造している。1990年代に数度の改修を受け、M203A1、M203A2へと発展している。
なお採用元の米陸軍ではH&K社のM320 グレネードランチャーがM203の後継として配備されている。
性能
- 最大到達可能距離:400m
- 最大有効射程(広域目標):350m
- (定点目標):150m
- 最小安全距離
- 非直接目標時:35m
- 訓練時:130m
- 戦闘時:31m
- 調達価格:601USドル(2005年度)
派生
M203
標準型。M16A1、M16A2、M16A3に対応した12インチ銃身である。専用ハンドガードに固定され、通常は使用者レベルでは分離しない。M16本体のハンドガードを丸ごと置き換えて装着する。
M203A1
主にM4、M4A1用で、銃身長は9インチである。QD(Quick Detach/即時分離)機能を持ち、下部ハンドガードまたはR.I.S下面を外して装着する。
カナダ軍はM16相当のコルトカナダC7にM203A1を装着して使用している。
M203A2
M203A1をM16A4 MWS(Modular Weapon System)用に銃身を12インチにしたもの。ナイツアーマメントのM5 R.I.Sに合わせて設計されている。
M203 PI
上記以外の銃に対応したモデル群の総称で、ステアーAUGやH&K G3、H&K MP5、更にはAKMやAK-74などにも装着できる。
M203のコピーまたは改良品は、少なくともトルコ、韓国、ブルガリア、ミャンマーなどで製造されているようである。
下記のグレネードランチャーはM203の派生品である。
- M203(SA-80) - イギリスのロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー社製。イギリス軍はL85にAG36を装着して使用しているが、このM203も採用こそされてないが装着できる。
- T40 - トルコのMKE社製。H&K G3に対応。
- SIG GL5040 - スイスのシグ社製。SIG SG550に対応。
- K201 - 韓国の大宇社製。K2に対応。
- 85式 - 中華民国の第205兵站廠製。65式歩槍、86式歩槍、91式歩槍に対応。
- M6 - ブルガリアのアーセナル社製。AKに対応。
- AG-40 Md80 - ルーマニアのロルアームズ社製。ポーランドなどのソ連以外の東側諸国規格の40×47mm弾を使用する。AKに対応。
- IMC-40 - コロンビアのINDUMIL社製。ガリルに対応。
- ミャンマー製M203(正式名称不明) - MA-1とM16に対応。
採用国
- アメリカ合衆国 - M16、M4用に導入。
- イスラエル - ガリル SAR(IMI ガリル)、IMI タボールAR21用に導入。
- シンガポール - SAR21用に導入。
- トルコ - T-40の名称で採用。G3、HK33用に導入。
- オーストラリア - F88 オーステアー(ステアーAUG)用に導入。
- ニュージーランド - F88 オーステアー(ステアーAUG)用に導入。
- エジプト - AKM用に導入。
- オーストリア - ステアーAUG用に導入。
- アイルランド - ステアーAUG用に導入。
- 日本 - 2007年と2008年にQDSS-NT4 サプレッサーやM4カービンとともにFMSでM203A2と照準器を購入 [1][2]。
- フランス - FA-MAS用に導入。
- ギリシャ - M16、M4用に導入。
- イタリア - ベルナルデリ VB-STD/VB-SR(IMI ガリル)、ベレッタAR70/90用に導入。
- ポルトガル - H&K G3用に導入。
- スウェーデン - Ak 4(H&K G3)、Ak 5(FN FNC)用に導入。
- コロンビア - IMC-40の名称で採用。IMI ガリル用に導入。
- チリ - SIG SG550、ガリル SAR(IMI ガリル)用に導入。
- メキシコ - M16、M4用に導入。
- イギリス - M16、M4用に導入。
- カナダ - C7(M16)、C8(M4)用に導入。
- スイス - SIG GL5040の名称で採用。SIG SG550用に導入。
- 韓国 - K201の名称で採用。K2用に導入。
- 中華民国 - 85式の名称で採用。65式歩槍、86式歩槍、91式歩槍用に導入。
- ミャンマー - EMERK-3(IMI ガリル)用に導入。
- オマーン
以上の銃器に対してサービスが行われている。
登場作品
脚注
関連項目
- 擲弾発射器
- GP-25 - ソ連・ロシア製のグレネードランチャー。AKMもしくはAK-74に装着して使用する。
- H&K HK79 - ドイツ製のグレネードランチャー。G3/HK33/G41系列に装着して使用する。
- M320/AG36 - ドイツ製のグレネードランチャー。アメリカ軍におけるM203の後継であるほか、H&K G36にも装着可能。
- M26 MASS
- M16
- M4カービン
- SOPMOD
外部リンク
- コルト M203
- Nazarian`s Gun`s Recognition Guide(英語)
- アメリカ陸軍野戦教範"FM 23-31 40-MM GRENADE LAUNCHER, M203"(英語)
- アメリカ陸軍野戦教範(英語)




